思ったより、このひと人間だ(舟木星那)
私は今回住岡さんにインタビューして、少し悔しかった。
住岡さんは終始笑顔で会話してくださり、表情を崩さず明るく接して下さる学校の先生だったら生徒から人気になりそうな方だと思った。
もう少し崩したかった…!全部地雷を踏まないし、綺麗に返されるし、自分がそう思うならいいと思うと言われるし、氷の上滑ったみたいにすぅーっと質問の回答帰ってきた……なんやねん!終わってから失敗した料理みたいな気持ちが続いた。
もっとはっきり嫌か好きか言わせたかったが流石大人、三歩くらい及ばなかった。嫌いか好きかはっきりさせることでもう少し人の黒い部分が出てきてくれると思っていたのに。そんな悔しいインタビュー。
ちょっとだけ自分の中で嬉しかったことも一つある。私は今まで「平和活動している人は神みてぇな善人の心持った、純粋ピュアピュア、平和目指します!」みたいな嫌いな人種だと思っていた。いや、今も思っている部分はあると思う。
住岡さんに自分は戦争で死にたいと思う時がある。戦争ゲーム見たりするのが好き。とお話しした。平和活動している人はどう思うのだろうと。
意外だった、住岡さんもバトル系のゲームをしていたとおっしゃった。しかも、結構リアルな…。そして、住岡さん自身も過去が思ったより重く暗い感じのお話をされていた。話の途中に自殺などの単語が普通に飛び交っていたと言えば平和活動している人との会話には見えなさそうだ。
途中から、この人本当に平和活動している人なのかと疑い掛けた。
思ったより、このひと人間だ。しかし、住岡さん(人間)に、インタビューの最後の1分で戦争でパッと死にたいとか思う私に対して、「せるちゃんが平和を目指していないようには見えない」と言われてしまった。
はい?
多分声を抑えていなかったら地声より低い声が出ていたところだろう。
いや、もう心の中じゃ出てた。一週間考えてもこの言葉だけはどうしても納得いかなかった。脳内の自分は頭をぐしゃぐしゃにしながら考え込んでいる。私は平和を目指しているのか、他人から見たら目指しているように見えたのか。初めて言われた言葉に、大人を困らせるインタビューが目標だったのに逆に困らされてどうする。
でも、平和活動している人の中で唯一この人の作る平和は少しだけ見てみたいと思ってしまった。私が大好きな虚無の空間をこの人なら作れてしまいそうで。自分はそんなに平和的な考えをもっていないと自分を納得させたかった。
なのに、切り崩すどころか自分が建てられそうで、嫌な気持ちになったり、傷ついたりはしなかったが今までの中で三本指に入るくらい悔しいインタビューを住岡さんと話すことで経験した気がする。
yesかnoかをはっきりできなかった悔しさと、自分の意見に不快にならない程度に上手く落ち着かせられた嬉しさで頭がこんがらがった。
住岡さんは人間だと思ったり、創造神だと思わせさせるような、自分がきっかけがなかったら一生関わらないような人だった。