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  3. 「TOPPA!!! TOPPAN」はただ語呂がいいだけでは、なかった。[D-Stadium編集部・企業インタビュー:凸版印刷株式会社]

凸版印刷のホームページを開くと、「トッパングループについて」のページに5つの事業系として「創造コミュニケーション系」「情報マネジメント系」「⽣活・産業資材系」「機能性材料系」「電⼦デバイス系」が挙がっている。あれ? 印刷は?

そして、メジャーな俳優たち(⼤泉洋さん・成⽥凌さん)を起⽤した広告キャンペーン「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」。「突破しよう。今までの考え⽅を。今までのやり⽅を」と促している。もう印を突破しているのに? まだ突破が⾜りない?

「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」のテレビCMなど、広告宣伝業務に携わる広報本部 宣伝部の佐藤圭⼀さん・⻄﨑⽂茄さんに、「突破」に込めた想いを伺いました。

「コミュニケーション⾃体がカタチのないもの」(佐藤さん)

── 中学⽣によるインタビューのときに佐藤さんが発したことばが印象的でした。「私たちはコミュニケーションのプロなので」と。「え? 印刷じゃないんだ」って。



佐藤(敬称略): 凸版印刷は明治時代に、その名のとおり印刷から始まった会社です。もちろん、現在も印刷業をおこなっていますよ。ただ、印刷の本質は「紙に⽂字を刷る」ということではなく、「情報や⽂化を伝える」ことにあるので、例えばお客さまのライフスタイルが変化していくと、情報の伝え⽅もおのずと変わっていきます。暮らしや社会の変化に柔軟に対応した結果、事業も拡がったり変化したり……で今に⾄っていて。情報のやり取り、つまりコミュニケーション⾃体がカタチのないものですから、私たちも⼿段として「紙に刷る」だけにこだわってはいないんです。

⻄﨑(敬称略): 「変化をキャッチアップする」というよりは、「変化を常に先取りする」気概ですね。そのなかでもとくに、私たちの仕事である広報・宣伝は、さまざまな⼈とコミュニケーションする仕事ですから、「コミュニケーションのプロフェッショナル」のプライドをもっています。

佐藤: どうしたら届けたい⼈に届けたい情報が伝わるかを模索し続けるのは、創業から続く当社のカルチャーの⼀つだと思います。そのカルチャーの上で、アイデアを練る発想⼒や、出てきたアイデアをカタチに仕⽴て上げる実現⼒が培われてきたのではないかと。あと、「突破」にもつながりますが、我々の仕事のスタンスとして「壁を越える」ことはわりと⾝近なんですよ。

⻄﨑: 私は昔から本を読むのが好きで、就職活動のときに「そういえば、本の奥付に『印刷:凸版印刷株式会社』って書いてあるなぁ」というところから当社に興味を持ちました。⼊社して、例えば本の印刷ではただ紙にインクを「刷る」だけではなくて、紙の選択ひとつをとっても、⾊味や質感、耐久性などさまざま吟味していることを知ったんです。印刷のゴールは「届ける・伝える」ことですが、その射程には「時間」の尺度も含まれるんですよね。過去や現在の情報を未来につなげるという意味で、時間の壁を越える。むしろ、越えないといけない。

佐藤: 最近でいうと、IT 技術を活⽤した遠隔コミュニケーションなどで、空間を越えることもできますし。他⾔語翻訳サービスを提供して⾔語の壁も越えていこうとしています。

「クラスに『凸版くん』がいたとしたら、きっと⽣き物係」(佐藤さん)

── 発想・実現・壁を越える。伺ったキーワードからは⼒強さやアグレッシブさが溢れていて、今まで感じていた、どちらかというと裏⽅というか、縁の下の⼒持ちのイメージとのギャップが……

⻄﨑: そうなんです。これまでの私たちは、情報を発する⼈と受け取る⼈のあいだでコミュニケーションをつないでいく⿊⼦の役割が強くて。だから、企業イメージ調査でも、凸版印刷は「真⾯⽬」や「保守的」のイメージがどうしても強くなりがちでした。でも、これからはもっと「躍動感」や「⾰新性」を携えていきたい。そういうところから出てきたのが「突破」というキーワードです。

佐藤: 僕はずっと、コンサルタントとしてさまざまな企業のブランディング⽀援をなりわいにしてきました。何の因果か、いまは⾃分の会社のブランディングをやってますが(笑)。ブランドをつくるとき、よくブランドパーソナリティ──その企業を⼈に⾒⽴てるんです。例えば学校のクラスに「凸版くん」がいたとしたら、どんな⼦だろうかと。いまの凸版くんは、⼀定の存在感はある縁の下の⼒持ち。ただ盛り上げ役ではないし、クラスをリードする学級委員でもなさそう。きっと、実直にコツコツお世話をする⽣き物係あたりじゃないだろうか。

⻄﨑: たしかにそうですね。⾃分を中⽴でコントロールすることも⼤事だけれど、これからはもうちょ っと社交性というかリーダーシップというか、「⾃分は⾃分なので」の殻を突破してほしいなと思います。もしも凸版くんがいたら。

佐藤: うん、もっとアグレッシブになってほしい。だからといって、「今⽇からイケてる凸版になります!」と⾃分でアピールしてもダメなわけで。ちなみに、僕の「サトウケイイチ」ってほんとうにありふれた名前なんですね。佐藤さんは⽇本に 180 万⼈以上いて、同姓同名の⼈も当社グループ内だけで 3 ⼈はいます。⼩学校から⼤学にかけては、クラスに必ず 1〜2 ⼈は佐藤さんがいた。そうすると、「佐藤」だけでは⾃分のアイデンティティが保てないわけです。クラスでは「佐藤=僕」ではないから。

⻄崎: 「イケてる⽅の佐藤だよ!」って⾃⼰申告する佐藤さんには、誰も⾒向きもしないでしょうね(笑)。

佐藤: でしょう? だから、佐藤少年は考えました。⾏き着いたのは、普段の振る舞い。発⾔内容やクラスメイトへの接し⽅、細かいところでは服装や髪型も含めて、佇まいそのものがコミュニケーションというか、周囲に対する⾃分のキャラクター形成になっていく。

⻄﨑: 凸版くん、いや、凸版印刷も同じですね。社会に対する佇まい──「こういう会社でありたい」という姿を明確にして、それを企業活動としてどのように体現して社会に接していくか。

佐藤: お客さまや⼀般⽣活者の⽅が「凸版印刷の取り組みって、いい感じに『突破』してるね」と感じる機会がなければ、いくら広告しても「『突破』しようとしている凸版印刷です!」のアピールで上滑りしてしまうから、結局のところ、社員⼀⼈ひとりが具体的に⾏動して、突破した実績(突破ストーリー)をつくっていかないとダメなんだと思います。

「ガンガンいくことだけが『突破』ではないと思うんです」(⻄﨑さん)

── 「突破」ってアグレッシブなことばですが、前のめりになるだけではなくて、ときには後ろを振り返るようなことも⼤切なんじゃないかと思います。そのあたり、いかがでしょうか。

⻄﨑: 突破するのは、最初のとっかかりとしてとても重要だと思います。ただ、ガンガンいくだけでコミュニケーションが成⽴するのかな、相⼿の⼼は動いてくれるのかな、というところは、じつは私は懐疑的です。ときには⼀歩引いてみたり、相⼿に寄り添ったりすることも、コミュニケーションとして必要ではないかと。私⾃⾝はどちらかというと寄り添い型でここまできたので、いきなりアグレッシブ⼀辺倒に転じたら⼾惑われてしまいそうですし(笑)。

佐藤: 凸版印刷のカルチャーが今まで寄り添い型でしたから、それを維持しながら、アグレッシブな⾯も「突破」というかたちで打ち出し、よりアグレッシブにやっていこうという意図ですね。寄り添いの否定ではなく、新たな⼀⾯として。⼈間も⼀⾯しかないなんてこと、ないでしょう? 僕はわりとミーハーで新しいことや流⾏ごとが好きな⼈間ですが、家はもうずっと同じところに住んでいるし、スマートフォンだって iPhone7(2016 年に発売された機種)を使い続けていたりする。そういうところは保守的なんです。⼀⽅で、毎年海外へ旅⾏するのですが、旅先は毎回違います。同じ場所にはどうも⾜が向きません。

⻄﨑: 両輪でのコミュニケーションが⼤切ですよね。ちなみに私は、家は頻繁に引っ越したい派です(笑)。

中学生の取材を受け

もっともっと、⼤⼈を困らせて⼤丈夫。困るのって「楽しい」から。

佐藤: 「⼤⼈を困らせる質問をします」と事前に聞いていましたが、インタビューをしてくれた 2 ⼈とも質問も受け答えもしっかりしていて、「困った」瞬間はなかったですね。まるで友だちとするように、率直なコミュニケーションで対話が弾んだ感覚です。もちろん、緊張はしていたと思うけれど。

⻄﨑: 直球の質問や、鋭い⽬線の切り返しなどを受けて、刺激的な時間でした。でもまだ、ほぼ初対⾯の⼤⼈というところで遠慮していた部分もあったのでは。皆さんはもっともっと⼤⼈を困らせて⼤丈夫です。「困った」ときに相⼿の期待値を超えていく、タイムリーに起こる変化を味わって楽しんでいくことも、コミュニケーションの醍醐味だと思うので。


■D-Stadium「編集の教室」に参加の中学生が書いた企業インタビュー記事は、こちらから。