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「⾃分にとっての健康」を話し合うだけでも、健康になっていける気がします。 [D-Stadium編集部・企業インタビュー:株式会社タニタ]

年明けに体重計を買い替えた。毎⽇のカロリーオーバーが積み重なってぶくぶくと膨張していく体形に嫌気がさしたからだ。体形そのものというより、この不本意な体形に合わせて服を新調しなければならないことに。「これがいい」ではなく「安いし、これでいいや」で服を選ぶことに。⾃分で⾃分を「こんな体形の⼈間に『いい服』を着せる必要はない」と呪っていることに。
世界保健機関(WHO)は、「健康」を「病気でないとか、弱っていないということではなく、⾁体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義づけている。⾐⾷住の「⾐」について、わたしの⼼はほとんど満たされていない。
タニタ製の新しい体組成計は、計測したデータを Bluetooth でスマートフォンに転送してくれる。体組成計に乗りさえすれば、レコーディングダイエットの「レコーディング」タスクを確実に実⾏できるのだ。

「気づいたら健康づくりをしている」の仕掛けをつくりたい。

── そんなわけで、タニタさんの体組成計にお世話になっています。あの体組成計、体重をはかると顔⽂字が表⽰されるんですよね。毎⽇はかっているとニッコリ、丸 1 ⽇はかりそびれたら無の表情(笑)。当初は「体組成計に乗りさえすれば」の「乗りさえ」をどれだけ続けられるかが⼼配でしたが、意外にあの顔⽂字に後押しされているように思います。

久保彬⼦さん(株式会社タニタ ブランド統合本部 ブランディング推進部):使っていただき、ありがとうございます。機能としては単純でも、「そういえばはかっていなかったな」と気づきが⽣まれたり、はかる楽しさを⾒出せたりする仕掛けって重要だと思います。以前、オンラインゲーム『⼑剣乱舞』とコラボレーションした歩数計を担当したときに、単に「健康のために歩数計を持ちましょう」では関⼼を持てなくても、好きなキャラクターがデザインされた歩数計となれば「持ちたい」に転じる⽅々がたくさんいらっしゃることを⽬のあたりにしました。

わたしは⼦どもの時から⾛るのだけは速くて、⼤学までずっと陸上競技に明け暮れていたタイプだったんです。なので、体育の先⽣になりたくて⼤学も教育系に進んで。当時は、「スポーツが得意」を活かせる職業といえば、教師やスポーツトレーナーくらいしか思い当たらなかったんですよね。⼤学で学ぶうちに、スポーツ栄養や当社のようなからだのコンディションを計測する商品づくりなど、スポーツや健康にまつわる仕事の選択幅の広さに出会いました。話はズレますが、そういう意味でも、中学⽣のうちにいろいろな「⼤⼈」「仕事」とまみえられる D-Stadium って素敵だと思います。

タニタに新卒⼊社後、法⼈営業の現場でまず感じたのは、「⾝体を動かすことに関⼼が低い⼈にとっては、運動やヘルシーな⾷事といった健康習慣って、⾯倒くさくてつまらないものなんだ!」ということ。スポーツをしていた⾝としては、例えば体重管理にしても、⾷べたいものを気ままに⾷べられない点で「敵」であるのと同時に、パフォーマンスを⾼めたりコンディションを整えたりするうえで「味⽅」でもありました。⾃分のなかでの「当たり前」が崩れたのを覚えています。

「私たちは、世界の⼈々が健康習慣によって⾃らの可能性を広げ、幸せを感じられる社会を⽬指します」を理念とするタニタは、⼀⼈ひとりの健康習慣をサポートする、社会に対して意味のあることをしている会社だと思います。ストイックに「◯◯しなければならない」ではなく、「気がついたら◯◯していた」で結果的に健康習慣につながる仕掛けをつくりたい、その仕掛けとなる商品を提供したい、というのは、タニタにとってもわたしにとっても、⼤きなテーマです。

「やりたいこと」をするために「健康であること」が必要になる。

── 中学⽣とのインタビュー時に、久保さんが「健康はゴールではない」とおっしゃっていたのが印象的でした。わたしが体重をはかるこの毎⽇も、「体重が減った⾃分」ではなくて「服屋さんで機嫌よく⾃分の服を選べる状況」を⽬指しているのだなと、あらためてゴール設定できました。

久保さん:
タニタの YouTube チャンネル「TANITA official」のコーナー「スナックくぼ」に、おもちゃクリエイタ ーの⾼橋晋平さんがゲストで来てくださったことがありました。そのときに、⾼橋さんが「⼈々の健康づくりに貢献する企業で働いている以上、あなた⾃⾝が健康でいないとね」とおっしゃったんです。ちょうど当時、担当していたプロジェクトが忙しさのピークで、⼼⾝ともに余裕がなく疲れきった⽣活を送っていたので、ギクリとしましたね。

「スナックくぼ」に出演いただいた⾼橋晋平さん(前編後編

わたしはタニタの「⽇本活性化プロジェクト」という働き⽅改⾰の仕組みを利⽤して、当時から正社員ではなくフリーランス(個⼈事業主)として、業務委託という形態でタニタの仕事をしています。タニタという企業と仕事をしている以上、⾃⾝の健康にも⽬配りしたいな、しないといけないなと感じましたし、それ以上に、そもそもこの仕組みに⼿を挙げたのは、「⻑く元気に、第⼀線で仕事をし続けたい」という気持ちがきっかけだったんですよね。健康であることは、サステナブルに働くうえで⾮常に重要だと思い⾄りました。
例のピークを迎えていたプロジェクトというのは、「電脳戦機バーチャロン」というゲームに対応するコントローラーの開発でした。企画や開発の過程で、幾度となくそのゲームのファンの⽅たちと交流させていただいたのですが、タニタとして「計測」とは畑違いのプロジェクトでしたし、わたし⾃⾝もゲームには疎かったので、ゲームファンのコミュニティがすごく新鮮で。
お互いに本名や顔や職業を知らない間柄でも、⽣き⽣きとコミュニケーションしながら楽しそうにプレイされるゲームファンの皆さんの姿に、世間⼀般には、「健康」といえば規則正しい⽣活をして、適度な運動と良い睡眠、バランスのとれた⾷事を……でしょうし、もちろんそれらがベースにはなると思いますが、好きなものを通した「繋がり」や「コミュニケーション」もまた、⼼⾝の安定の⾯で、健康をかたちづくる⼤切な要素なのだと感じました。

「電脳戦機バーチャロン」のファンの⽅たちと

「⾃分は何のために健康でありたいか」は⼗⼈⼗⾊だと思います。だからこそ、⾃分には「何」がポイントなのかを認識することが重要なのではないでしょうか。健康が⽬的化してしまうことがないように。「⾃分にとって『健康』とは?」を先⽇の中学⽣インタビューの場で話し合うのはおもしろかったですし、そういった論議の機会を持つだけで「何」の解像度が上がって健康になっていく気がします。

中学生の取材を受け

「久保さんの考える健康は何ですか」と聞かれてドキッとしました。

「⾃分はファストフードを⾷べているとき、すごくおいしくて幸せなんですけど、健康的にそれはダメですか?」「あんまり体重とか気にしたくないので、タニタ製品を買うことはないと思います」といった直球コメントをもらうことって、普段の仕事ではなかなかありません。「私もファストフードを⾷べますよ。ポテトチップスを 1 袋⾷べたくなることもあります」と正直にお答えしましたが、あらためて「私にとっての健康とは?」と考える機会になりました。


■D-Stadium「編集の教室」に参加の中学生が書いた企業インタビュー記事は、こちらから。



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