それは、何とも言えない温かさでした。(佐藤 世壱)

シリーズ3:面白人にインタビュー, 編集の教室


 加藤さんに聞いてみたかったことは、「本当の多様性って何?」という抽象的なことです。なぜなら、僕は畑の土の中はたくさんの微生物により「多様性がある」と思っていたから。土壌生物の中には、原生動物のアメーバ、藻類の藍藻、緑藻、菌類のペニシリウム。他にも放射菌、細菌など自分にとっては大切な仲間といえる微生物がたくさんいます。

 なぜ、僕が土の微生物に興味を持っているのか?と疑問に思う人もいるでしょう。小さい頃から僕は食べることが好きでした。ミニトマトを誰よりも新鮮に食べたいと思った僕は、プランターでミニトマトを栽培しました。あの時のミニトマトの味は今でも忘れていません。もっと食べたいと思い今度は畑で挑戦しました。その時はたくさんのミニトマトを食べることができればいいなという軽い気持ちで化学肥料を使っていました。最初は思うように作れたものの、だんだんトマトの生命力が弱まり、虫にやられたり、病気になったりしてしまいました。実践してみるだけでなく、知識も必要ではないかと思い、微生物についての本を読みました。「化学肥料は効果がすぐ現れて、生産率もアップするというメリットがあるが、土(微生物)へのダメージが大きくなり、土の生命力が落ちる」ということが書かれていました。そこで、化学肥料に頼らない植物の生命力が強くなる方法でトマトを作ろうと考えました。ご飯づくりの時に出る、野菜の残飯や海で釣ってきた魚の骨を肥料にして微生物が増えるようにしようといろいろ試しました。ある冬の日、堆肥場をかき混ぜていたら、土から白い湯気みたいなものがあがっていました。それは何とも言えない温かさでした。後日調べてみると、微生物の呼吸によるものだと知りました。僕はこの体験から自然の壮大さ、素晴らしさを感じ、いつの間にか自然のとりこになっていました。

 僕は本当の多様性とは自然のことを指すのかな~と疑問を持つようになりました。僕はただ、その疑問を晴らすため、多様性の分野の専門である加藤さんに質問をしました。


世壱:「畑の土の中には、たくさん微生物が生きていてそれは多様性のある状態ではないのかな~と思っています。野菜を育てるときに化学肥料といわれる農薬を使ってみたり、あえて雑草と一緒に野菜を育てたり、海の海藻を畑にまいたり、いろんなことをしました。その結果、自然のまま育てる自然農法が長期的な野菜作りに適していることに気がつきました。土の中(自然)は多様性で満ち溢れていると思いますが、本当の多様性って何ですか?」

加藤さん:「良い質問ありがとうございます。私の考える本当ダイバーシティはダイバーシティが高いことで環境適用性が高くなること。土の中にたくさんの種類の微生物がいることが何で良いかというと、いつ来るかわからない過酷の環境の中で、適応したり、耐えることができるから。人間の方だと、過酷な環境はコロナウィルスに置き換えることができます。世の中の流れが速くなっているとビジネス界では言われています。その中で生きていくには、お互いに知恵を出し合い多様な人が多様に考えていくことが大切だと思います。」

世壱:「ダイバーシティはお互いを助け合うことにもなりますか?」

加藤:「そうですね。助け合うともいえると思います。例えば、Aさんはリンゴの皮をむくのが得意、Bさんはパイナップルの皮をむくのが得意だとすると、、、たくさんのリンゴとパイナップルがあるとき、Aさんはリンゴ、Bさんはパイナップルのように得意な人が得意な方をする方が効率が良くなるよね。それぞれの人の良さを保管し合う関係もダイバーシティといえると思います。」


 過酷な環境を乗り越えていくために必要なものは、土の中、人間どちらにも共通する多様性だと加藤さんは言っていました。そして、そのための関係性作りも大切と言っていました。多様性のある環境作りで必要なことは相手の良さを見つけお互いに生かし合うこと、認め合うことだと思いました。


―追伸―
編集中に小さな地震を感じました。目の前にあるカーテンがひらひらと揺れる程度のものでした。この地震も、地球が多様性に満ち溢れているから起こる現象の一つだと、知識と体験が結び合いより理解することができました。
過酷な環境を乗り越えていくために必要なものは、土の中、人間どちらにも共通する多様性だと加藤さんは言っていました。


 (タイトル画像の配色:佐藤 世壱)