まだしばらくは、都会派でいこう (渡辺 小菜恵)

シリーズ3:面白人にインタビュー, 編集の教室


私は田舎に住んでいますが、あまり地元が好きではありません。というよりも、田舎が好きではないのです。都会に住んでいる人のなかには「田舎、いいと思うけどなぁ」という人もいるかもしれませんが私にはそうは思えません。「事件も少なくて平和でしょ」それは人口が少ないだけだと思います。メインストリートでさえ人通りが全くなく、登下校の時間以外は冷たい風と数台の車だけが通っていくのが日常です。その景色は、かなり寂しいです。「身近に自然があるじゃないか」確かに自然は身近なところにたくさんあります。ですが、夏場に大量発生する虫や家庭菜園の大きく育った野菜をひと齧りだけしていくネズミ、丸ごと奪っていくアライグマ、住宅街や通学路に残されたキツネのフンまで望む人はなかなか珍しいのではないでしょうか。他にも、学校に転入生が滅多にこなかったり、生徒数が少ないため各学年一クラスしかなくクラス替えがなかったりと、残念なことが多いです。
田舎に対して、「残念なことばかり」というイメージを持っていた私ですから、『希望して都会から田舎に引っ越した大学生』の上田沙耶さんを不思議に思いました。都会には、マックもTSUTAYAもミスドもある。田舎よりずっと便利なのになぜわざわざ来たのだろうと感じ、お話を聞かせていただきました。

インタビューが始まり、上田さんはなぜ双海町に引っ越したのか、を教えてくださいました。もともと、上田さんにとって田舎は遠い存在ではなかったようです。祖父母の営む商店が双海町にあり、子供のころから帰省でよく行っていたそう。松山のおばあちゃんの家よりも双海のおばあちゃんの家に行く時の方がワクワクしていたらしいです。「海が綺麗で、山も綺麗で、人もよくて食べ物も美味しくて、ずっとこの町に魅了されていた自分がいて・・」と上田さんは面白人紹介の動画でも語っていました。しかし上田さんのおばあちゃんは双海町について「人が全然歩いとらん、もうこの町終わったー」という風に言ったそう。上田さんはそれを聞き、もちろん今のままでも好きだけれど、もっと娯楽を増やしたりしたら、もっと素敵な町になる!と考えこの町に引っ越しました。そんな上田さんも田舎って不便・・・と感じることはあるそう。本のある空間が好きだけど町にはなかったから、作ったりしたそうです。かなり行動力のある話でびっくりしてしまいました。
そのような上田さんの話を聞いて私は、上田さんは田舎が好きだから引っ越したのだろう、という自分の考えがちょっと違うんじゃないかと思いました。上田さんは、好きという気持ちもあるだろうけど、田舎を変えるために引っ越したのでは。田舎の環境を自分の手で変えるという考えは、今まで私にはありませんでした。私は、田舎はいやだ、だから都会に行こうと考えていたのです。環境を自分で変えるとして、例えば、私も本が好きなので上田さんのように地元で本屋を開いてみる。本屋がないのも「田舎ってイヤだな」の原因の一つでした。田舎だけど、自分の好きな本やオススメの本を発信する空間がある。それができたら、私は少し地元を好きになります。だったら、色々な人がそういった行動を起こしたら?少しずつ活気がでて、少しずつ素敵な町になっていくかもしれません。いやだからといって逃げるかのように出ていくのではなく環境を変える、というのはとても良い考えのようです。
 でも、実際はそう簡単にはいかないでしょう。色々大変なことがあると思います。それに、やっぱり都会は便利で憧れの的です。上田さんも「好きだったら残ったらいいし、やりたいことがあるのであれば出たらいいと思う」とインタビューで言ってくれました。今のままの地元なら、私は声を大にして好きという気にはなりません。将来、『変えたい』となるのかもしれませんが、まだしばらくは都会派です。